花は基本的に好きだ。それでも、苦手なものがまったくないわけではない。 今日は、苦手な花の話ではなく、好きな花の話をしたい。
桜や薔薇のような、誰が見ても「きれいだね」と言いやすい花ではない。 どちらかというと、「え、なぜそれ?」と首をかしげられることの多い花だ。 けれど、そのチョイスがいかにも自分らしい気がして、少しだけ笑ってしまう。
キンモクセイ
秋の、ほんの10日ほど。 「私はここにいます」と、香りだけで存在を知らせてくる花木が、キンモクセイだと思っている。
花の姿はとても地味だ。 小さな花が集まって咲いていて、近づかなければ花だと気づかないことも多い。 その控えめさゆえか、北側やトイレのそばに植えられていることも多く、 「トイレの匂い」などと不名誉に言われてしまうことすらある。
それでも、香りの話になると少し事情が変わる。 桂花茶――キンモクセイの花を茶葉に混ぜたお茶や、桂花酒。 華やかさだけで言えば、ジャスミンにも引けを取らないと思っている。 知名度は、まあ、うん。負けているかもしれないけれど。
派手ではないのに、季節になると確実に空気を変えてくる。 その「短い期間だけ本気を出す感じ」が、どうにも好きだ。
スズラン
もうひとつ、好きな花が、スズランだ。白くて、小さくて、うつむきがち。
群れて咲いていても、主張は控えめで、写真映えもしない。 気づかれないまま通り過ぎられることも多い。それでも、近づいたときだけ、ちゃんと香る。 「ここまで来た人にだけ分かればいい」 そんな距離感を持っている花だと思っている。
毒がある、という性質も含めて、どこか不器用だ。 かわいいだけではないところが、逆に信頼できる。
おわりに
どうやら花の話は、見た目よりも香りに意識が向くらしい。
それは、見た目にコンプレックスを抱いていた自分自身と、どこか重なっているのかもしれない。
居るけれど目立ちたくない。でも、存在は否定されたくない。
複雑な気持ちと向き合うとき、思い浮かぶのがこの花たちなのだと思う。コンプレックスが弱まっても、好きなものは変わらない。そんなことを、最近あらためて確認した。
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